この記事で解決できる疑問
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消防士は1年に1回は人事異動があり、異動になる可能性があります。
私自身は消防士として7年勤務しましたが、5回の異動を経験しました。
この記事では、私の実体験を踏まえて消防士の転勤・異動事情について解説します。
この記事の執筆者
- 元消防士
- 高卒ストレートで消防官採用試験合格
- 指定都市の消防本部で消防隊員、救急隊員として7年勤務
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目次
消防士の転勤について
消防士の間では、転勤という言葉はあまり使わず、「異動」と言います。
転勤は引越しを伴うイメージがあるかもしれませんが、消防士の異動で引越しを伴うことは稀です。
なぜなら消防士の異動は、市町村などで区別された消防本部内でしかないからです。
唯一、「出向」になると市外や県外への引越しをしなければならない場合があります。（第3章で説明）
署外異動と署内異動
異動には大きく分けて「署外異動」と「署内異動」があります。
同じ出張所の消防隊から救急隊への配置転換も異動と言います。
署内異動は異動しても顔馴染みの方が多いので溶け込みやすいですが、署外異動は知り合いが誰もいないこともあります。
私が初めて署外異動したときは、知り合いが誰もいなく心細かったです。
異動の年数に決まりはない
「◯年ごとに異動する」というような、異動に関する明確な年数の決まりはありません。
そのため1年で異動する方もいれば、5年程度同じ所属にとどまる場合もあります。
異動の年数に関する私の感覚では、「署外」異動は5年に1回程度、「署内異動」は2.3年に1回程度の頻度です。
ちなみに私は消防士として7年勤務しましたが、異動の経験は以下の通りです。
署外異動は1回、署内異動は3回経験し、毎年のように署内異動をしていました。
私は7年で5回異動しているので、頻度が多い方かなと思います。
同じ所属に長期間いることもある
署外異動の平均は5年程度とお伝えしましたが、専門性が高い所属では同じ所属に長期間とどまる場合があります。
なぜなら専門性が高い所属で毎年のように異動があると、専門知識や経験が溜まる前に異動となり、行政サービスの低下を招く可能性があるからです。
たとえば、海上に面した消防本部では船を運用していますが、船を使用しての消防業務は専門性が高いため、異動の頻度が低いです。
私が勤務していた消防本部では、船を運用する所属で10年以上異動がない職員もいたよ！
消防本部管内での異動しかないメリット3つ
消防士はそれぞれ皆、各自治体で採用されているので、異動は消防本部内でしかありません。
管轄内での異動しかない消防には、多くのメリットがあります。
消防本部管内での異動しかないメリット
メリット1：引越しの手間がかからない
消防士は異動による引越しをする必要がありません。
なぜなら消防士は市町村ごとに消防本部があり、異動も市町村内で済むため自宅からの通勤に支障がないからです。
ちなみに警察も自治体内での異動だけど、県内での異動だから遠方になると引越しが必要だよ！
消防士は異動で引越しが必要ないので、負担がかかりません。
メリット2：単身赴任がない（例外あり）
消防士は異動での引越しがないので、当然単身赴任を強いられることもありません。
単身赴任をすると、以下のようなデメリットがあります。
単身赴任がなければ、このような負担がかかりません。
ただし、「出向」の場合は引越しや単身赴任を伴う場合があります。詳しくは次章で解説しています。
メリット3：通勤に時間がかからない
消防士の異動は市町村内に限定されるので、異動しても通勤に時間がかかりません。
横浜市消防局を例に挙げるなら、横浜市消防局管内で最も南に位置する金沢区から最も北に位置する青葉区でも、1時間程度で移動可能です。
1時間という通勤時間を長いと感じる方もおられると思いますが、通えない距離ではありません。
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市外や県外に出向する3パターン
異動は消防本部内での勤務場所の変更しかないとお伝えしましたが、「出向」は市外や県外に勤務場所が変更する可能性があります。
市外や県外に出向するパターン
パターン1：消防学校・消防大学校への出向
消防学校や消防大学校への派遣は、出向となります。
消防学校は各都道府県及び指定都市を中心に全国に55校あり、消防大学校は東京都に1校あります。
消防学校や消防大学校への派遣でまず考えられるのが、学生として勉強をしに行くパターンです。
学生として消防学校や消防大学校に派遣される場合は寮に入寮するので、引越しや単身赴任をする必要はありません。
一方で、消防学校や消防大学校に教官として派遣される場合は、学校の寮には入れないので、自宅からの通勤もしくは学校付近への引越しを検討する必要があります。
消防学校や消防大学校に教官として派遣される場合の任期は2〜3年程度なので、その間は引越ししたり家族がいる場合は単身赴任したりする可能性があるでしょう。
パターン2：救急救命士養成所への出向
救急救命士の資格取得を目的に救急救命士養成所へ派遣される場合も、引越しや単身赴任を経験する可能性があります。
消防機関が運営する救急救命士養成所は全国に11校しかないので、自宅から通える範囲に救急救命士養成所がない場合は引越しを伴います。
救急救命士養成所は消防学校と違って寮はありませんが、養成所への入校に伴う引越しの場合は所属が居住地を探してくれる場合もあるそうです。
救急救命士養成所への入校期間は約半年だよ！
パターン3：近隣消防本部への出向
引越しを伴う出向として、近隣消防本部への派遣も考えられます。
近隣消防本部への派遣は、近隣消防本部間で一部の職員を入れ替えることで、消防業務の活性化やサービス平準化を目的として行われています。
他本部のいい部分を自本部に取り入れて、消防力を向上させよう！ってイメージだよ。
近隣消防本部への出向なので自宅から通勤する職員が多いですが、あまりにも通勤に時間がかかる場合は引越しを伴うことがあるでしょう。
異動するタイミング4種類
消防で異動するタイミングはいくつかあるので、紹介していきます。
異動するタイミング
1：4月1日に異動（3月に内示）
毎年4月1日の新年度に異動があります。
私が勤めていた消防本部では、全職員の約3分の1が異動、3分の2が異動なしという割合でした。
4月1日の異動にあたって、だいたい3月中旬ごろに内示が発表されて、異動が分かります。
3月ごろになると、みんな内示の発表に向けてソワソワしだします笑
2：昇任すると異動になることがほとんど
昇任した翌年は異動になるケースがほとんどです。
なぜなら昇任すると、今まで部下だった人が上司になるなど立場が変わるので、勤務に支障をきたす恐れがあるからです。
私も消防士から消防士長に昇任した翌年は異動したよ！
以上のように、「昇任＝異動」と考えておきましょう。
3：チグハグな人間関係
人間関係が影響して異動になることがあります。
消防は体育会系の縦社会がゆえに、パワハラなどの人間関係が問題になるケースがあります。
たとえばパワハラなどを理由に、「来年もAさんと同じ所属になりたくない」と人事課に相談すると、Aさんもしくは自分が異動になるでしょう。
ハラスメントが社会的問題となっている今、消防でもハラスメントには敏感なので、パワハラというワードを出せば異動になる可能性は高いです。
消防は1年に1回は異動があるので、人間関係のもつれがあってもなんとか1年我慢すれば異動できるといったメリットがあります。
4：年度内異動もある
毎年の4月1日以外にも、年度内に異動することもあります。
退職や怪我などで欠員が発生した場合、年度内でも異動で人員を確保する場合があります。
また人間関係のもつれが悪化して業務に相当の支障が生じる場合は、年度内でも異動が起きる可能性があるでしょう。
ちなみに東京消防庁の異動は4月と10月の年2回あるよ！
消防士の転勤・異動に関するよくある質問2つ
最後に、消防士の転勤や異動に関してよく寄せられる質問に回答していきます。
消防士の転勤・異動のよくある質問
Q1：異動希望は通るの？
A 異動希望は通る場合と通らない場合があります。
上記でも説明したとおり、パワハラなどの人間関係を原因とした異動希望は通る可能性が高いでしょう。
一方で、「救助隊に異動したい」「〇〇消防署に異動したい」などの個人的な希望は通る場合と通らない場合があります。
なぜなら周りの職員との兼ね合いの中で、配属先は決定されるからです。
たとえば救助隊への異動を希望しても、あなたよりAさんの方が救助隊に適していると判断されれば、Aさんが救助隊に配属されます。
自分の異動希望を叶えたいのであれば、日頃の評価も大切になってきます。
Q2：消防士に出世コースはある？
A 消防士に出世コースはありません。
「A部署の配属になれば出世する」、「B部署に行くと出世が遅れる」というわけではありません。
消防士で出世したいなら、早く昇任して上司の評価を高めていくことが重要です。
まとめ：消防士は自治体内での異動しかない
この記事のまとめ
- 消防士に引越しを伴う異動はない
- 市外や県外に出向になる場合がある
- 異動の年数に明確なルールはない
消防士の異動は自治体のみですが、出向になると市外や県外への勤務場所の変更がありえます。
引越しや単身赴任は経済的にも辛いので、消防士は投資等での資産形成を行いましょう。
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