この記事で解決できる疑問
こんな疑問を解決できる記事を書きました。
救急業務は、消防士の業務の一つで、今一番重要な業務といっても過言ではありません。
この記事を読めば、救急隊の仕事内容についての理解がかなり深まります。
なぜなら私自身消防士として7年間働き、救急隊員として働いていた期間もあったので、その経験を元に記事を書いたからです。
この記事でしっかり理解を深めて、面接試験等の引き出しの一部にしてくださいね。
目次
前提:救急隊の要件を知ろう
救急隊は、何人で誰が活動しないといけないのかは、法律で定められています。
救急隊は3人以上で編成しなければいけない
救急隊(次条第一項に定めるものを除く。)は、救急自動車一台及び救急隊員三人以上をもって、又は航空機一機及び救急隊員二人以上をもって編成しなければならない。ただし、救急業務の実施に支障がないものとして総務省令で定める場合には、救急自動車一台及び救急隊員二人をもって編成することができる。
消防法施行令 第44条第1項
長々と書いていますが要約すると、『救急車11台につき救急隊員3名以上で活動しなければならないが、特別な理由がある場合は救急車1台につき救急隊員2名でもいいですよ』という内容です。
基本的には、救急隊は3名以上で運用することになります。
1人以上は救急救命士(努力義務)
現在消防庁では、救急隊は3人以上で運用する内の最低1人以上は救急救命士にすることを目標に掲げています。
ただこれはあくまで努力義務。
救急救命士の人数が少ない消防本部など、事情によって困難な消防本部もあります。
しかし救急救命士運用隊は年々増えており、令和4年で99.5%と100%まであとひといきです。
救急救命士の人数も年々増えています。
都市部の消防本部は救急救命士が多いので、救急隊3人全員が救急救命士なんてことも全然ありますよ。
救急救命士になる方法はこちらでまとめています。
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救急隊の仕事内容
救急隊の仕事は大きく分けて以下の2つ。
- 傷病者の搬送
- 応急処置
傷病者の搬送
傷病者の搬送とは、救急車で傷病者を病院まで搬送することです。
傷病者の搬送で重要なことは、
- 何科の医師に診てもらうべきか
- どこの病院が何を診れるのか
を把握しておくことです。
例えば、頭痛、吐き気⇒脳神経外科の病院に搬送、胸が痛い⇒循環器内科の病院に搬送、のように傷病者の症状に合わせた病院選定をする必要があります。
ただ搬送は絶対にしなければいけないものではなく、傷病者やその家族が病院に搬送してほしいという意思表示があれば搬送しますが、傷病側が病院には行きたくないと言うのであれば、無理に病院搬送することはできません。
また、傷病者が既に亡くなっている場合は、不搬送となります。
応急処置
応急処置の原則
- 短時間に行うことができ、かつ効果をもたらすことが客観的に認められている処置
- 複雑な検査を必要とすることなく、消防庁長官が別に定める装備資器材を用いて行う処置
応急処置には以上のような原則があり、この原則に基づいて行われる応急処置には以下のようなものが挙げられます。
意識、呼吸、循環の障害への処置
- 気道確保
- 人工呼吸
- 胸骨圧迫心マッサージ
- 除細動(電気ショック)
- 酸素吸入
外出血の止血に関する処置
- 出血部の直接圧迫による止血
- 間接圧迫による止血
創傷に対する処置
- 創傷をガーゼ等で被覆しほう帯をする
骨折に対する処置
- 副子を用いて骨折部分を固定する
体位
- 傷病者の症状や創傷部の保護等に適した体位をとる
保温
- 毛布等により保温する
その他
- 傷病者の生命の維持又は症状の悪化の防止に必要と認められる処置を行う
以上の応急処置は、特別高度な知識や技術は必要ありませんが、簡単にでき、命を救う上で非常に重要な処置です。
実体験:救急隊のやりがい・しんどいこと
私は救急隊として3年間働き、2500件以上の救急出動をしてきました。
その経験から、救急隊として働くやりがい・しんどかった経験をご紹介しますね。
やりがいを感じる瞬間1:命を救ったとき
一番やりがいを感じる瞬間は、やはり傷病者の命を救ったときです。
ここで言う命を救うとは、生命を繋ぐという意味もありますが、一番は傷病者の社会復帰。
なんの後遺症も残らず今まで通りの生活を送れる状態で、救急隊に限らず全ての医療従事者が目指すところです。
日々のしんどい思いや勉強・訓練の成果が実る、とんでもない達成感を得れますね。
やりがいを感じる瞬間2:感謝の気持ちを伝えられたとき
病院への搬送が終わった時に、傷病者や家族から『ありがとうございました、助かりました』と感謝の言葉をいただいた時は、やりがいを感じます。
感謝されるためにやっているわけではないですが、やはり感謝されると幸せな気持ちになりますね。
中にはご丁寧に消防署まで来て、お礼の品を持ってきてくれる方もいらっしゃいます。(ありがいたいのですが、物を貰うことができないので、気持ちだけ受け取っていました)
やりがいを感じる瞬間3:給料が高い
上記の2つとは別の視点ですが、救急隊は消防士の中でも給料が高いです。
災害現場で活躍する消防隊、救助隊、指揮調査隊などと比べても一番給料が良いのが救急隊。
なぜ給料が良いのかというと、圧倒的に出動が多くて忙しいから。
時間外手当や出動手当などの手当が、給料が増える要因です。
消防士の給料については、こちらの記事で詳しく書いているので是非参考に!
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しんどいこと1:仮眠中も出動がある
上記のやりがいで話した給料が良いことの引き換えに、救急隊は出動が非常に多いです。
24時間勤務では夜間帯は仮眠を取れますが、出動で何度も起こされることがよくあり、体力的には非常にしんどいです。
私も救急隊員時代は、翌日の非番も疲労困憊で寝て過ごすなんて日がよくありました。
※働く地域によって忙しさにかなりばらつきがあり、田舎の消防署だと、ほとんど出動がない救急隊もありますよ。
しんどいこと2:高圧的な医師や傷病者もいる
私自身、救急隊時代の一番のストレスは、医師とのやり取りでした。
ほとんどの医師は優しく常識的な対応で接してくれますが、中には言葉遣いが乱暴だったり、一人の大人としてどうなのかなと思う医師もいましたね。
また傷病者の中にも高圧的な方もおり、特にお酒が入っている人なんかは横柄な人もいました。
でもこの経験から、どんな人にも冷静に対応するメンタルの強さと安定が身についた点を考えると、今となっては良かったと思っています(笑)
しんどいこと3:救急車をタクシー替わりに使う人もいる
昨今話題になっていますが、救急車をタクシー替わりのように使う方も正直いました。
救急隊の負担も増しますし、本当に救急車が必要な人のところに、救急車が到着するのが遅れてしまう原因となっており、大きな問題となっています。
救急隊の一日の流れ
ここからは実際に救急隊がどのような一日を過ごしているのか、説明していきますね。
田舎の救急隊の場合(救急出動3件)
時刻 | 業務内容 |
---|---|
8時30分 | 勤務開始 |
9時~ | 車両、資器材点検 |
10時~12時 | 出動1件、事務処理 |
12時~13時 | 昼食、休憩 |
13時~ | 訓練 |
15時~16時 | 出動1件 |
17時~ | 体力錬成 |
18時30分~ | 一日のメール、その他引継ぎ事項の共有 |
19時~ | 夕食、風呂 |
22時~23時 | 出動1件 |
23時~6時 | 仮眠、警備勤務 |
7時~ | 掃除 |
8時30分~ | 逆番との引継ぎを行い勤務終了 |
出動もありますが、比較的余裕を持って勤務でき、訓練や仮眠もしっかりとれますね!
都市部の救急隊の場合(救急出動10件)
時刻 | 業務内容 |
---|---|
8時30分 | 勤務開始 |
9時~ | 出動2件 |
12時~13時 | 昼食、休憩 |
13時~20時 | 出動5件 |
20時~ | 夕食、風呂 |
23時~6時 | 出動2件、警備勤務、仮眠 |
7時~ | 出動1件 |
8時30分 | 逆番との引継ぎを行い勤務終了 |
ご覧のように、一日10件程度出動する都市部の救急隊だと、出動以外の業務はほぼできず、食事や仮眠も満足に取れないといった一日になることもあります。
経験を積んで、早く一人前の救急隊員になりたいなら、都市部の救急隊になるべき!
こんな人は救急隊員に向いている:特徴3つ
救急隊員として働いてきた経験から、救急隊員に向いている人の特徴をまとめました。
救急隊員に向いている人のと特徴
- 誰かのためになることをしたい人
- 暇より忙しい方が好きな人
- 給料を上げたい人
1:誰かのためになることをしたい人
この世に、誰のためにもならない仕事はないと思っています。
一方で本当は誰かのためになっているものの、『これって本当に誰かのためになっている?』と感じてしまう仕事もあると思っています。
その点救急隊は人から直接感謝の言葉を貰う回数が多く、「この活動が傷病者のためになっている」と感じやすいんです。
これは自己肯定感のアップや仕事のやりがいにも繋がってきますよ!
2:暇より忙しい方が好きな人
暇が耐えられない性分の方っていますよね。
そんな方に救急隊はおすすめです。
たしかに都市部の救急隊は忙しいですが、忙しいと24時間勤務もあっという間に終わります。
逆に暇だと24時間勤務、めちゃくちゃ長く感じますよ。
3:給料を上げたい人
先ほども言いましたが、救急隊は給料が良いです。
ですので、給料をアップさせたい人は救急隊になることをおススメします。
給料をアップさせたいなら、昇任して階級を上げるのが手っ取り早いです。
階級の上げ方はこちらの記事で解説しています!
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まとめ:救急隊になるにはまず消防士になろう
救急隊の仕事はこの2つ。
- 傷病者の搬送
- 応急処置
消防士の仕事の中で救急は年々重要度が増しており、非常にやりがいのある仕事です。
また他の隊に比べて、給料が良いのも大きな魅力ですね。
救急隊になるためには、まず消防士になることが必須です。
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