消防士の内情

消防士の階級は何種類?階級の上げ方も解説

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こんな疑問にお答えする記事を執筆しました。

僕は、この記事で紹介する「階級の上げ方」を実践して、昇任試験も一発合格できましたよ。


記事前半では消防士の階級の種類について、後半では階級の上げ方や注意点について解説するので最後まで見てくださいね。


この記事の執筆者

たなんちゅ
  • 元消防士
  • 高卒ストレートで消防官採用試験合格
  • 政令指定都市の消防本部で昇任試験一発合格



消防士の階級

消防士の階級は全部で10階級で、一覧は図のとおり。

一番上の階級が消防総監で、一番下の階級は消防士となっています。

階級階級章役職
消防総監・東京消防庁の消防長
消防司監・指定都市の消防長
消防正監・消防吏員200人以上または人口30万人以上の市町村の消防長
消防監・消防吏員100人以上または人口10万人以上の市町村の消防長
・署長
・部長
消防司令長・消防吏員100人未満かつ人口10万人未満の市町村消防長
・副署長
・課長
消防司令・出張所長
・係長
・課長補佐
消防司令補・主任
・隊長
・副隊長
消防士長・副主任
・隊長
・副隊長
・隊員
副消防士長・係員
・隊員
消防士・係員
・隊員


消防総監は一人

消防士の一番上の階級である『消防総監』は東京消防庁の消防長ただ一人です。

そして指定都市の消防長は『消防司監』、それ以外の市町村は消防吏員数と人口に応じて、消防長の階級が『消防正監』、『消防監』、『消防司令長』となっています。


東京消防庁の消防長は、他の消防本部の消防長より階級が高いですが、他の消防本部より偉いという訳ではありません。あくまで、一つの消防本部の長という位置づけです。


『消防士』は一つの階級

ビックリされた方もおられるかもしれませんが、『消防士』というのはひとつの階級です。

要は、警察官で言うところの『巡査』と同じ立ち位置。

全ての消防吏員は、まず『消防士』の階級からスタートします。


ちなみに消防吏員とは消防職員の中で、階級を有する人のことを言い、消火・救助・救急活動に従事することになります。


階級が上がるメリット・デメット

ここからは、階級が上がるメリット・デメリットについてお話します。

「階級が上がるメリットはあっても、デメリットなんてないだろ」と思うかもしれませんが、消防吏員の中には、昇任したくないと考えている人もいるぐらいで、決してメリットばかりではないんです。


階級が上がるメリット

階級が上がることで得られるメリットはこちら。

階級が上がるメリット

  • 基本給が上がる
  • 地位が上がる


メリット1:基本給が上がる

階級が上がることで基本給が上がります。基本給が上がることで、給料や年収がアップするのが一番のメリットでしょう。


ちなみに基本給を上げる方法は2つ。

  • 階級を上げる
  • 勤続年数が上がる

勤続年数が上がることで、基本給は少しずつ上がっていきますが、基本給を早く上げるには階級を上げるのが一番です。


消防士の給料については、こちらの記事で詳しく解説しています。

消防士の年収は高い?【結論】年収1,000万円も可能です

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メリット2:地位が上がる

消防士や警察官などの公安系は階級社会ですので、階級が全てです。

ですので若くても階級が上の人の方が偉く、発言力があって地位も上がります。


ただ、階級が上がるとともに地位も上がって、偉そうになるのだけはご法度。間違いなく嫌われます。

若くして昇任する人は、人間性が優れている人が多いので、偉そうにする人は少ないですが、中には階級にあぐらをかいて偉そうになる人もいるので、そういう人にならないように気を付けましょうね。


階級が上がるデメリット

逆に階級が上がることのデメリットは以下の2つ。

階級が上がるデメリット

  • 現場にいられない
  • 責任が増える


デメリット1:現場にいられない

階級が上がって幹部になると、現場活動はせず、事務方のポジションにつきます。

消防署長が火事の最前線で火を消したりしませんよね。


現場活動に従事するのは、政令都市以上の消防本部でも、階級が『消防司令』以下であることが多いです。

消防士を目指す人の多くは、学生時代はスポーツに励み、「勉強することより体を動かすことの方が好き」という人だと思います。(僕もその一人でした)

そんな人にとって、机に座ってのデスクワークはしんどいものなので、中には現場活動に従事したいから、あえて昇任しないという人いるくらいです。


デメリット2:責任が増える

メリットで挙げた『地位が上がる』の裏返しですが、階級が上がることで責任が増します。

特に災害現場では、上席者の指示は絶対ですので、上席者は部下の命を預かっているようなものです。


ですので階級が上がる前に、災害対応の知識・経験を身に着けておく必要があります。


階級を上げるための方法

では、階級を上げるためにはどうしたらいいのかを、元消防士である僕の経験も踏まえてご説明していきます。


階級を上げるための方法

  • 上級・一類・一種で消防士になる
  • 勉強する
  • 幹部に気に入られる


詳しく解説していきます。


1:上級・Ⅰ類・Ⅰ種で消防士になる

公務員試験は、受験区分というものがあり、大きく3つに分類されています。

  • 上級・Ⅰ類・Ⅰ種:大学卒業程度
  • 中級・Ⅱ類・Ⅱ種:短大卒業程度
  • 初級・Ⅲ類・Ⅲ種:高校卒業程度


この区分は、採用試験の難易度を表しており、上級・Ⅰ類・Ⅰ種の試験が一番難しく、初級・Ⅲ類・Ⅲ種の試験がいちばん易しい試験です。

そのため、上級・Ⅰ類・Ⅰ種の試験区分で合格した人は、幹部候補として扱われることが多く、就職した後の昇任が有利になります。


ちなみに、僕が務めていた指定都市の消防本部では、上級の職員は、最初の昇任試験は免除で自動昇任、昇任する年数も他の試験区分の職員より短い、という特権がありました。


2:勉強する

では上級・Ⅰ類・Ⅰ種の試験区分で採用試験に合格しないと、階級を上げることは難しいのかというと、そういうわけではありません。

昇任試験に合格をすれば、階級が上がる仕組みです。

ちなみに、昇任試験の試験内容はこちら。

昇任試験の試験内容

  • 教養試験
  • 小論文試験
  • 面接試験
  • 部隊行動


この中で、一番重要なのが教養試験。

採用試験でも昇任試験でも、一番大事なのはやっぱり教養試験なんです。

ですので、消防士になってからも勉強は継続する必要がありますね。


3:幹部に気に入られる

実は、昇任試験は一定の階級まではありますが、一定以上階級が上がると、その先は幹部の裁量で階級が上がっていきます。

ですので、幹部を目指そうと思うなら、幹部に気にいられる必要があるんです。

どこの世界にもある話が、消防の世界にもありました(笑)。


僕の務めていた消防本部にも、いわゆる派閥みたいなものがあったそうで、どの派閥につくかで、その後の昇任スピードに影響すると聞いたことがあります。


そもそも消防士になるには?

消防士になるには、以下の3ステップを踏みましょう。

ポイント

  • 受験する消防本部を決める
  • 受験する試験区分を決める
  • 公務員試験に合格する


ステップ1:受験する消防本部を決める

まずは、受験する消防本部を決めましょう。

受験先を選ぶ基準は以下の3つ。

  • 地元の消防本部
  • 都市部の消防本部
  • 受かりやすそうな消防本部


選び方に正解はありません。僕は地元の政令都市を選びました。


ちなみに、都市部の消防本部ほど、給料が高い傾向にあります。

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ステップ2:受験する試験区分を決める

受験する消防本部を決めたら、次は試験区分を決めましょう。

試験区分は、大きく分けて3つあります。

  • 上級・Ⅰ類・Ⅰ種:大学卒業程度
  • 中級・Ⅱ類・Ⅱ種:短大卒業程度
  • 初級・Ⅲ類・Ⅲ種:高校卒業程度


より早く階級を上げて出世したいなら、上級・Ⅰ類・Ⅰ種の受験がおススメです。

年齢や学歴によって受けられない試験区分もありますので、詳しくは受験する消防本部の採用案内を確認してください。


ステップ3:公務員試験に合格する

受験する消防本部と、試験区分を決めたら、後は試験に合格するだけです。

公務員試験の試験内容はこちら、

  • 教養試験
  • 論作文試験
  • 面接試験
  • 体力試験



【注意】現場で働きたい人へ

皆さんが憧れる消防士とは、火を消してたり、救助活動をしたり、救急車で傷病者を病院まで搬送したりする姿かもしれません。

そんな方に、消防士になる前に是非知っておいてほしい現実を以下で解説します。


現場で働き続けたいなら階級は上げ過ぎない

災害現場活動にあたる職員は、概ね消防司令以下の職員です。

上記でも説明しましたが、ある一定の階級まで上がると、現場からは離れて事務的なポジションに回ります。

ですので、「定年するまで現場で活躍したい」という思いの人は、昇任しないという選択肢もありますし、実際にそういう消防吏員は多くいますよ。


ただ、隊長や現場指揮者になりたいと思えば、ある程度階級を上げないとなれませんので、注意が必要です。


上級・Ⅰ類・Ⅰ種は事務ポジションに回されやすい

「上級・Ⅰ類・Ⅰ種の試験区分で消防士になっても、あえて昇任しなければ現場で活躍できるんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、中々そのようにはいきません。

上級・Ⅰ類・Ⅰ種は幹部候補として採用されるケースが多いため、事務ポジションに回されやすい傾向にあります。


実際に僕の同期の中でも、救助隊に強い憧れがありながら、上級で消防士になったため、事務ポジションに長く勤務している人もいました。

ただ、これはあくまで傾向という話で、必ずしも現場にいられないというわけではないのを申し伝えます。


まとめ:将来のビジョンを描こう

今回は消防士の階級について深堀りしました。


階級を上げる3つの方法はこちら、

階級をあげるための方法

  • 上級・Ⅰ類・Ⅰ種で消防士になる
  • 勉強する
  • 幹部に気に入られる


ただ、全員が階級を上げることを目標にしているわけでもないと思います。

  • どんどん階級を上げて、地位や給料を上げたい人
  • 長く現場で活躍したい人

この2パターンのどちらを選ぶかで、消防人生が変わってくるので、まずは将来のビジョンを描くことが重要です。




『消防士の階級』に関する質問などは、ご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です)

※いただいたコメントは全て拝見し、真剣に回答させていただきます。


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