消防士の内情

消防士の仕事内容【消防隊編】消防士の基礎が詰まった3つの任務

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こんな疑問を解決できる記事をご用意しました。

「消防士」と一概に言っても、消防隊もあれば救助隊や救急隊もあって、その仕事内容は全然違います。


この記事では、実際に消防隊として働いていた私の経験を踏まえて、消防隊の仕事内容について解説してるので、是非最後までチェックしてくださいね。


この記事の執筆者

たなんちゅ
  • 元消防士
  • 高卒ストレートで消防官採用試験合格
  • 指定都市の消防本部で消防隊員、救急隊員として7年勤務


まずは「消防隊員になる方法」を知りたいという方は、「消防隊に配属されるまでの2ステップ」をクリックして該当箇所まで飛んでください!


基本:消防隊の概要

消防隊の仕事内容について解説する前に、まず消防隊の基本情報を確認しておきましょう。


消防隊とは、火事を消火することをメインとして活動する隊で、一般の方が想像する消防士は、消防隊にあたります。

消防隊は別名、「消火隊」、「警防隊」、「ポンプ隊」などと呼ばれることもありますが、仕事内容に特段の変わりはありません。

この記事では、呼び方を「消防隊」で統一させてもらいますね。


消防隊の服

消防隊は普段、青色の服を着ており、活動服や作業服といった呼び方をされる服です。

消防隊の作業服

火災のときは、この作業服の上に防火服を着るので、作業服も燃えにくい素材でできています。


ちなみに、救助隊の服はオレンジ、救急隊の服は灰色で、以下のような感じですね。

救助隊の作業服
救急隊の作業服


運用する車両

消防隊は消防車に乗っていますが、消防車と言ってもめちゃくちゃ種類があります。

消防隊が乗る消防車をざっと挙げただけでも、こんな感じ。


  • ポンプ車
  • 水槽付きポンプ自動車
  • 大型水槽付きポンプ自動車
  • はしご車
  • 屈折放水塔車
  • 化学車


正直これ以外にも多くの消防車があります。

例えば、水槽付きポンプ自動車一つとっても、水槽の大きさが車両ごとに変わってきますし。


ただ、消防隊が運用する車両に一つだけ共通点があるとすれば、ポンプ機能」がついているということです。

ポンプ機能とは、水を出すための機能・装置のこと。

消防隊が運用する車両が、水を出せないのでは話にならないですからね。


乗車人員

消防車の乗車人員は、消防力の整備指針第27条で決められており、消防隊運用する、ポンプ車、はしご車、化学車は乗車人員は5人となっています。


ただ、資器材が充実していれば4人でも良いという緩和条件もあり、5人で消防車に乗る隊は大体3割程度。

実際私が勤めていた消防本部でも、消防車は4人で運用していましたよ。


消防隊員になるまでの2ステップ

消防隊員にはどうやってなるの?」という質問に回答していきますね!


分かりやすくまとめているので、ぜひ参考にしてください。


1:自治体の採用試験に合格する

消防士は地方公務員なので、まずは各自治体の消防官採用試験に合格しなければいけません。


消防官採用試験に合格するには、公務員予備校がおすすめです。

なぜなら、合格者のほとんどが公務員予備校利用しているから!

実際私の消防士時代の同期も、9割以上が公務員予備校利用者でした。


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2:消防学校で約半年間の訓練を受ける

消防官採用試験に合格したら、次に約半年間消防学校に入校します。


消防学校初任科の到達目標

  • 服務義務を理解し、職務意欲旺盛で、住民の信頼を得られること。
  • 警防隊員として、基本的な安全管理について理解し、自らの安全を確保し、災害現場では隊長の下命に基づく基本的な活動ができること。
  • 消防業務全般について概要を理解していること。
  • 住民からの一般的な質問に応答できること。


消防学校の初任科では、以上のような到達目標が掲げられています。

この目標に向かって、日々訓練に励みます。


消防学校での訓練内容については、こちらの記事で詳しく解説してるので、参考にしてください。

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消防隊の仕事内容3つ

消防隊の仕事内容は、大きく分けて3つです。


消防隊の仕事内容3つ

  • 災害対応
  • 水利の点検・維持
  • 予防広報


1:災害対応

災害対応は、最重要の任務です。

24時間365日、いつでも災害対応ができるよう、消防隊は交代制で常に消防署に待機しています。


消防隊の出動する災害は以下のとおり。

  • 火災
  • 救助
  • 救急
  • 警戒
  • 特殊災害

消防隊の災害対応は、どんな災害にも出動するといった特徴があり、「消防界のよろずや」と呼ばれることもあります。


1:火災

火災のときは、消防隊が複数台出動して消火活動、救助隊と協力して逃げ遅れの救出活動を行います。

私は消防士として7年間勤務しましたが、やっぱり火災出動以上に緊張感、切迫感、アドレナリンが出る現場ないですね。


火災現場での消防隊は、以下のような任務があります。


  • 隊長:隊を指揮、他隊との連携
  • 機関員(運転手):ポンプ運用で水を出す
  • 隊員:放水


火災現場では、放水している人が一番目立ちますが、実は一番重要なのは機関員(消防車のそばでポンプ操作をしている人)です。

なぜなら、水が出ないことには消火活動が始まらないから。


そのため機関員は、隊長からの信頼が厚い職員が選ばれることが多いです。

逆に、放水隊員は体力が必要なので、若手職員が担当することが多く、隊長の指示・助言のもと放水活動を行います。


2:救助

救助事案は救助隊の仕事だと思うかもしれませんが、消防隊も出動します。

なぜなら救助隊ほどではありませんが、消防隊も救助するために必要な資器材を持っているから。


例えば、2階や3階に進入するためのはしごや、破壊するための工具類は消防車に積載されています。


さらに救助隊は一つの消防署に1隊が基本で、隊の数が少ないです。

一方で、消防隊は各出張所にも必ず1隊おり、単純に隊の数が多いので、救助隊よりも早く現場に到着する可能性が高くなります。


救助事案は例えば、屋内で人が倒れているけど家の中に入れない場合など、火災に負けず劣らず緊急性が高い事案もあり、素早い活動が求められます。


3:救急

救急車と消防車が、セットで止まっている現場を見たことないですか?

これは救急隊の支援活動のために消防車が出動する、よくある事案です。


消防隊が救急隊支援のために出動する現場は、こんな事案が想定されます。

  • 心肺停止のような重傷傷病者
  • 救急隊だけでは搬送が困難な大柄な傷病者
  • 傾斜がきついなど、地形的要素で救急隊だけでの搬送が困難
  • 傷病者が暴れる

特に重傷傷病者の場合、生きるか死ぬかの世界なので、非常に緊迫感がある現場です。


ちなみに消防隊という名前ですが、全出動に占めるパーセンテージは、この救急出動が一番多いです。

そのため消防隊でも、救急の知識は身に付けておきたいところ!


4:警戒

警戒事案と言われただけでは、あまりピンとこないと思います。

警戒事案とは、火災に発展する事案を未然に防ぐための出動です。


具体例を挙げると、こんな感じ。

  • 自動火災報知機のベルが鳴動したので、火災兆候がないか調べる。
  • 車の事故によって油が漏れたので、引火して火災にならないよう処理する。
  • 怪しい煙が見えるので、現地調査。

地味ではありますが、火災予防のためには重要な業務ですね。


5:特殊災害

特殊災害とは、テロや事故等で有毒ガスが発生したり、放射性物質が飛散するような災害。

特殊災害は、別名CBREN(シーバーン)災害とも言われ、その頭文字をとって名図けられています。


CBREN(シーバーン)災害

  • C:chemical(化学)
  • B:biological(生物)
  • R:rediological(放射性物質)
  • N:nuclear(核)
  • E:explosive(爆発物)

CBREN災害は、主に救助隊が防護服を着て危険エリアに進入し、災害対応にあたります。


消防隊はというと、安全な場所で支援活動を行ったり、消防隊の中でも防護服を持っている隊もあるので、防護服を着て救助隊とともに危険エリアに進入することもありますよ。


2:水利の点検・維持

消防隊は火災があった時、水を出さないといけませんが、どこから出すか分かりますか?


水利の種類5つ

  • 消火栓
  • 防火水槽
  • プール

こんな感じですね。


自分たちが使う水源を、しっかり点検するのも重要な仕事です。

火災のときにちゃんと水が出るよう、定期的に点検し、異常があれば直さないといけません。


消火栓の点検・管理

消火栓は、道路のいたるところに埋め込まれており、消防隊が火災現場で一番使う頻度が高い水利です。


消火栓の点検では、以下のような点を確認します。

  • 蓋が開くか
  • 消火栓の塗装が剝がれていないか
  • ちゃんと水が出るか


もしも何らかの異常があれば、管理している水道局と協力して、修繕を行います。


防火水槽の点検・管理

防火水槽は、公園や大型施設などにあり、水槽の中に常時溜まっている水を火災戦闘で使います。


防火水槽のチェックポイントは、

  • 蓋が開くか
  • 適正量の水があるか

点検をしているとたまに、水槽内にひびが入っている等の原因で、減水している場合があります。


その場合も、管理している水道局に報告ですね。


プール、川、海

学校のプールって、「真冬に汚くなっているのに、なんで水を抜かないんだろう」と思ったことありませんか?


実は、消防隊が火災のときに使用するためです。

私も消防士になって知りました。


プールを使わないときでも、水を張っていないといけないので、掃除等で水を抜くときは、消防署に報告しないとダメなんです。


川、海に関しては自然なので、水量の変化等を定期的に確認して、火災のときに使用できるかできないかを判断します。


3:防火訓練・広報活動

小学校や幼稚園の避難訓練に、消防隊が来た経験ってないですか?

避難訓練に参加して指導したり、消防署見学にくる子供の対応だったりも、消防隊の仕事です。


高齢者施設やマンションでも、避難訓練や消火器の使い方などを指導することがあります。


幼稚園・保育園は特に行く機会が多いですが、若手消防士と幼稚園・保育園の先生との出会いの場でもあります。

気が利く先輩がいたら、幼稚園・保育園の上席の方と話を進めて、合コンをセッティングしてくれるなんてことありますよ。


消防隊の一日

消防隊の仕事内容を確認したところで、消防隊の勤務一日の例をまとめました。


時刻業務内容
8時30分勤務開始、引継ぎ
9時~車両、資器材点検
10時~11時幼稚園で訓練指導
12時~13時昼食、休憩
13時~15時訓練
15時~17時災害出動
17時~体力錬成
18時30分~19時一日のメール・引継ぎ事項の共有
19時~夕食、風呂、事務処理
23時~6時仮眠、警備勤務
7時~掃除
8時30分逆番との引継ぎを行い勤務終了


ちなみに災害対応にあたる救急隊や救助隊と比べると、消防隊は比較的時間に余裕を持って勤務できるかなと。

救急隊は出動が忙しく、救助隊は一日中訓練に励んでいます。

もちろん消防隊も訓練をするのですが、救助隊ほど量は多くありません。


救急隊や救助隊の仕事内容について知りたい人は、こちらの記事で深く解説しています。

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消防隊の特徴2つ

消防隊には、他の隊にはない特徴が2つあるので、一緒に確認していきましょう!


特徴1:新人は必ず消防隊に配属される

消防学校を卒業して配属されたとき、必ず消防隊に配属されます。

これは、男女・年齢問わずです。


昔は、新人で予防業務に配属になる女性職員もいたみたいですが、今はそんなことはありません。

なぜ全職員が消防隊に配属されるのか、はっきりとした理由は定かではありませんが、消防隊は消防士としての基礎が詰まっているので、最低でも1.2年経験することが、消防士としてのスキルアップに役立つと考えられているからではないでしょうか。


早い人は2年目から、救急業務や予防業務のような専門分野に異動になるケースもありますよ。


特徴2:モチベーションに差がある

消防隊は、職員間で仕事に対するモチベーションや意識に差があります。

なぜなら消防隊は、色々な経歴の人がいるから。


例えば、救助隊や救急隊は自分から志望して配属になるケースが多いです。(中には志望していないのに配属になるケースもありますが)

志望して配属されている職員は、仕事に対する情熱やモチベーションが高い職員が多いですよね。


一方で、消防隊は色々な人がいます。

  • 消防隊に情熱を持っている職員
  • 新人で消防隊に配属された後も、慣れた消防隊として働きたい職員
  • 救助隊や救急隊として働いた後、消防隊に戻った職員
  • 定年間際の職員
  • 非番日の趣味や家族サービスを重視したい職員


色々な考え方がありますが、良いも悪いもないと思っています。

私自身も消防士はせっかく休みが多いので、非番日を充実させたいと常々考えていましたし。


この考え方しかダメっていう、縛りみたいなものがないのが魅力的ですよ!


消防隊員に必要なスキル3つ

私が消防隊員として働いてきて、消防隊員に必要なスキルは以下の3つだと思っています。


消防隊員に必要な3つのスキル

  • ポンプ運用のスキル
  • 火災戦闘のスキル
  • 幅広い知識・経験


1:ポンプ運用のスキル

消防隊が他の隊と決定的に違うことは、火災現場で水を出さないといけないことです。


火災現場で水を出すというのは、非常に重要な任務です。

まず水が出ないと火は消えないですし、隊員が放水しながら建物内に進入したとき、もし水が止まったら進入隊員は焼け死にます。


そのためポンプ運用は、水を出すことは当然ですが、どれくらいの勢いで水を出すのか、水量も考えて放水隊員に指示を出さないといけません。


消防隊員として必須のスキルです。


2:火災戦闘のスキル

当然火災現現場では、ポンプ運用のスキル以外にも火災戦闘のスキルが必要です。


火災戦闘のスキルがないと、このような危険があります。

  • 放水するべき場所を間違えて、被害が拡大する
  • 危険に気が付かず、怪我・命を落とす


火災戦闘のスキルは、訓練でも身に着きますが、実際の現場を経験することが重要です。

近年は、色々な要因で火災件数が減少しています。

そのため少ない実戦経験で、火災戦闘のスキルを上げることが求められています。


3:幅広い知識・経験

消防隊は、火災以外にも多くの知識・経験が必要です。

なぜなら、消防隊はよろずやと呼ばれるくらい、色々な災害に出動するから。


火災のほか、救助、救急、警戒、特殊災害の知識・経験も必要です。

幅広い知識・経験を積むためには、日頃から訓練や勉強が欠かせません。


良い消防隊員になるために

私の中で、良い消防隊員の定義はこうです。

良い消防隊員=災害現場で戦力になる隊員


もちろん事務作業の能力も大事だという意見に、異論はありません。

しかし消防隊員である以上、災害現場で活躍できてこそ良い消防隊員だと思っています。


ここからは私が考える、良い消防隊員になる方法をお伝えしていきますね!


1:消防隊でスキルを磨く

まず、ずっと消防隊員として働いてスキルを磨く、という方法があります。


消防隊として長く勤務することで、消防隊の仕事内容を深い部分まで知ることできます。

特に火災現場でポンプ運用をする機会は、消防隊以外だとあまりありません。



火災対応に強くなりたいのであれば、消防隊員として働き続けるのがベストです。


2:他の隊を経験する

ずっと消防隊として勤務するという方法の逆で、他の隊を経験することも、良い消防隊員になる方法の一つに挙げられます。

なぜなら、消防隊は色々な災害に対応し、他隊とも連携するので、他隊の活動内容を知ることはとても重要だからです。


例えば、救急現場では救急隊と連携しますし、火災現場や救助現場では救助隊とも連携します。

救急隊や救助隊を経験しておくことで、連携活動がスムーズになるとともに、救急隊や救助隊で培った知識や技術を消防隊でも発揮できれば、よりいい活動ができます。


消防隊の仕事内容を理解して立派な消防隊員を目指そう!

最後に消防隊の仕事内容をおさらいしておきましょう。


消防隊の仕事内容3つ

  • 災害対応
  • 水利の点検・管理
  • 防火訓練・広報活動


消防隊は消防士になって、最初に配属される隊です。

なので消防隊になりたい人は、まず各自治体の消防官採用試験合格を目指しましょう。


消防士におすすめの予備校は、こちらの記事で詳しく解説しています!

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