この記事で解決できる疑問
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令和5年地方公務員給与実態調査によると、令和5年の地方公務員全体の定年退職での退職金は、2,174万円でした。
この記事では、そんな消防士の「退職金の計算方法」を紹介し、実際に「退職金をシミュレーション」してみます。
この記事を最後まで読んで、退職金への理解を深めて人生設計の参考としてください。
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目次
消防士の退職金の計算方法
消防士の退職金の計算方法はこちらです。
退職日給料月額とは、退職する月の基本給を指します。
この場合、各種手当は含まれません。
支給率と調整額については、以下で詳しく解説していきます。
支給率とは?
支給率は「勤続年数」と「退職理由」によって変わります。
勤続年数が長いほど支給率がアップする仕組みです。
退職理由によっても支給率が変わり、整理退職・死亡退職・傷病退職>定年退職・勧奨退職>自己都合退職の順に支給率が下がります。
支給率の早見表は「支給率早見表」をクリックしてね。
勤続35年を超えると、定年退職・勧奨退職・整理退職・死亡退職・傷病退職は支給率が満額になります。
自己都合退職・公務外傷病退職も勤続43年を超えると支給率が満額に達します。
調整額とは?
調整額とは、勤続期間の立場や功績を加味して、基本額にプラスして支払われるお金です。
消防士の調整額は、勤続期間中の階級を基準に考えられることが多いです。
横浜市消防局を例をして説明します。
区分 | 金額 | 区分の説明 | 階級 |
---|---|---|---|
第1号区分 | 95,400円 | 消防職員の該当なし | ー |
第2号区分 | 78,750円 | 消防職員の該当なし | ー |
第3号区分 | 65,000円 | 消防職員の該当なし | ー |
第4号区分 | 59,550円 | 消防職員給料表の適用を受けていた者でその属する職務の級が7級であったもの | 消防正監 |
第5号区分 | 54,150円 | 消防職員給料表の適用を受けていた者でその属する職務の級が6級であったもの | 消防監または消防司令長 |
第6号区分 | 43,350円 | 消防職員の該当なし | ー |
第7号区分 | 32,500円 | 消防職員給料表の適用を受けていた者でその属する職務の級が5級であったもの | 消防司令 |
第8号区分 | 27,100円 | 消防職員給料表の適用を受けていた者でその属する職務の級が4級であったもの | 消防司令 |
第9号区分 | 21,700円 | 消防職員給料表の適用を受けていた者でその属する職務の級が3級であったもの | 消防司令補 |
第10号区分 | 0円 | 第1号区分から第9号区分までのいずれの職員の区分にも属しないこととなる者 | ー |
上記の区分のうち、大きい区分から60ヶ月分を足した金額が調整額になります。
第4号区分が40ヶ月、第5号区分が20ヶ月なら、59,550円×40ヶ月+54,150円×20ヶ月=3,465,000円(約346万円)になる計算だよ!
調整額は、在職期間の階級が高い人が多くもらえる仕組みです。
退職金を増やす方法は2つ
退職金は「基本額」と「調整額」で決まるので、この2つの額を上げると退職金の総額も上がります。
「基本額」と「調整額」の上げ方を確認していきましょう。
基本額は長期勤続で上昇する
基本額は「退職日給料月額」と「支給率」で決まり、退職金の大部分を占めます。
退職日給料月額は退職月の基本給を指し、基本給を上げる最も手取り早い方法は、階級を上げることです。
消防士の給料は、勤続年数と階級によって変化します。
支給率は先ほど説明したとおり、勤続年数とともに上昇し退職理由によって変化します。
基本額を上げるなら、勤続年数を増やして基本給を上げましょう。
調整額は昇任すると上昇する
調整額は区分(階級)を上げると、上昇します。
横浜市消防局の場合、消防司令補以下は第10号区分に該当するので、調整額が支給されません。
横浜市消防局で、第9号区分で60ヶ月在職していた場合の調整額は、21,700円×69ヶ月=1,302,000円(約130万円)と大きな額になります。
調整額で退職金が数百万円変わるので、調整額を上げたいなら、一定ライン以上まで昇任しておくことが重要です。
退職金をシミュレーションしてみよう
この章では、実際に退職金がどのくらいになるのか、計算していきます。
今回は、横浜市消防局を例に計算します。
ここで計算した数字はあくまで一例であり、源泉徴収などで、実際には計算した金額よりも低くなるはずです。
例1:消防士として10年勤務(自己都合退職)
横浜市消防局に高卒で10年間勤務し、自己都合退職した場合を例に計算していきます。
なお、10年の在籍期間中の階級は、「消防士6年」、「消防士長4年」で「退職日給料月額は239,000円」で設定します。
自己都合退職なので支給率が低く、退職時の階級が消防士長だったため調整額も発生しませんでした。
例2:消防士として30年勤務(自己都合退職)
続いては、横浜市消防局に大卒で30年間勤務し、自己都合退職した場合を例に計算していきます。
なお30年間の在職期間中の階級は、「消防士6年」、「消防士長10年」、「消防司令補7年」、「消防司令7年」で「退職日給料月額は389,200円」で設定します。
先ほどの勤続年数10年に比べて、今回は30年勤務しているので、支給率が大幅にアップしています。
また消防司令まで昇任しているので、基本給がアップするとともに、調整額も貰えました。
消防士は退職金だけで老後を乗り越えられるのか?
消防士の退職金は年々減少しています。
平成17年の退職金は約2,700万円ありましたが、令和5年は約2,100万円に下がっています。
老後費用に1人あたり2,000万円かかると言われる現在において、退職金2,000万円+年金と考えると、1人であれば生活できる範囲かと思いますが、配偶者など家族を養うのであれば、心もとない金額です。
老後に不安を感じるなら資産形成を始めよう
退職金と年金だけで老後やっていけるかな?
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一般企業の退職金と比較
令和5年度の地方公務員の退職金は2,174万円ですが、この金額が多いのか少ないのか、一般企業の退職金と比較していきます。
一般企業と比較をして消防士の立ち位置を確認してください。
大企業との比較
中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」によると、大卒(男性)で定年退職した場合の退職金平均は2,230万円でした。
また高卒(男性)の同条件の場合は、2,018万円という結果でした。
令和3年の地方公務員の平均退職金が2,180万円なので、公務員の退職金は大企業の退職金と遜色ないことが分かります。
なおこのデータは、資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上の企業を対象にした結果です。
当然、上記の退職金よりも多い企業もあれば少ない企業もあるので、あくまで平均とお考えください。
中小企業との比較
次に中小企業の退職金と消防士の退職金を比較します。
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によると、大卒で定年退職した場合の退職金平均は1,092万円でした。
高卒で定年退職した場合の平均退職金は994万円という結果になりました。
消防士の退職金は約2,000万円なので、中小企業の退職金は半分程度ということが分かります。
モデル退職金は、学校を卒業してすぐに入社した人が普通の能力と成績で勤務した場合です。
消防士の退職金は安くなっているものの、世間一般と比べるとまだまだ高水準でした。
【Q&A】消防士の退職金に関するよくある質問に回答
最後に、消防士の退職金に関して、よく寄せられる質問に回答します。
消防士の退職金に関する質問4選
Q1:高卒と大卒で退職金額は変わる?
A 高卒と大卒で退職金額に差はありません。
上記で説明したとおり、退職金は「基本額(退職日給料月額×支給率)+調整額」で決まるので、勤務年数が長く、階級が高い人の退職金が高くなります。
そのため高卒でも。消防士になった後の努力次第で、大卒者より多くの退職金をもらうことは十分可能です。
Q2:退職金はいつ支給される?
A 退職金は退職した翌月中(1ヶ月以内)に支給されます。
退職手当は、職員が退職した日から起算して一月以内に支払わなければならない。
国家公務員退職手当法 第2条の3
国家公務員法では以上のように明記されており、地方公務員は国家公務員に準じた法律になるので、地方公務員も退職後1ヶ月以内に退職金の支給があります。
Q3:退職金に税金はかかる?
A 退職金には税金がかかります。
退職金は、退職所得という名目で税金が差し引かれます。
退職所得への課税は、給与所得よりも優遇措置があるため、税負担は給与所得に比べて少ないです。
Q4:定年延長で退職金は減る?
A 定年延長で退職金が減ることはありません。
退職金は、退職日給料月額が大きく関わってくると説明したところです。
定年延長で60歳以降も働く場合、給与は60歳時点の70%に減少しますが、退職金の計算に用いる退職日給料月額は、60歳時点での給料月額です。
そのため、定年延長で退職金が減ることはないので、安心してください。
まとめ:退職金を踏まえて老後の準備をしよう!
消防士の退職金まとめ
- 消防士の定年退職での退職金は約2,000万円
- 退職金は年々低下している
- 消防士の退職金は大企業の退職金と同等額
消防士の退職金は約2,000万円ですが、年々低下傾向にあります。
消防士の退職金を一般企業の退職金を比較すると、大企業の平均レベルはありますが、退職金と年金だけで老後を迎えるのは心もとないです。
そのため、消防士は現役のうちから資産形成を始めましょう。
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