この記事で解決できる疑問
この記事では、以上の疑問を解決できます。
予防業務は消防隊や救急隊に比べて、業務内容が分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事を読むことで、予防業務の重要性や仕事内容が明確に分かるので、最後まで目を通してみてください。
「予防業務に従事したい」「公務員予備校選びで失敗したくない」という方は、予防業務に従事するための3ステップを押すと、該当箇所まで飛べますよ!
予防業務の意義
予防業務は、消火活動や救急活動に比べ派手さはなく、一見地味に思うかもしれません。
しかし予防業務は、市民の安全を守るうえで非常に重要な業務です。
なぜなら火災は早く消して被害を最小限に食い止めることも大切ですが、そもそも発生させないのがベストだから。
火災は減少傾向
過去10年の火災件数を比較すると、火災は減少傾向であることが分かります。
火災件数に併せて、死傷者数も減少傾向ですね。
火災及び死傷者数が減少している要因は、以下の点が考えられます。
ガスや電気設備は近年、著しい機能向上を遂げています。
例えば、転倒したり一定以上の温度に上がったりしたら、勝手に電源が落ちるなど、火災予防の大きな助けになっています。
そして、消防用設備の維持管理の向上や、市民の火災予防への意識向上も、火災や死傷者数の減少要因です。
これは、消防士の予防業務での成果と言っていいでしょう。
予防業務の仕事内容5つ
ここからは火災や死傷者数の減少に貢献してきた、予防業務の仕事内容について解説していきますね。
予防業務の仕事内容5つ
- 建築審査
- 防火査察
- 危険物関係
- 防火・防災活動
- 火災調査
1:建築審査
予防業務は、建物が建つ前から始まります。
建築審査の業務は、主に以下の2つ。
- 消防同意
- 使用開始検査
消防同意とは、建物の設計の段階で消防が介入して、法律上問題がないかチェックすること。
消防が同意すれば、建設に移行できますが、同意しなければ設計図を作り直さなければいけません。
消防同意は、消防用設備が必要な建物はもちろん、建物が建つ場所によっては一般住宅でも必要になることがあります。
また使用開始検査とは、消防用設備が備え付けられている建物を対象に、建物の使用が開始される前段階で、消防が設備の機能をチェックする検査です。
2:防火査察
無事建物が完成したからといって、予防業務は終わりではありません。
建物が建った後も、定期的に立ち入り検査を行うなどして、建物が適正に維持管理されているか確認します。
これを防火査察といい、消防は消防用設備が設置されている全ての建物の情報を、管理しているんです。
防火査察は以下の流れで行います。
- 立入検査を行う
- 不備事項があれば、所有者に対して指導する
- 是正まで指導を重ねる
重大な不備事項があったり、長年にわたり不備事項に改善がない場合は、建物名の公表や法的措置をに出ることもありますよ。
消防設備が行う点検との違いは?
予防業務の防火査察とよく勘違いされえるのが、消防設備士が行う設備の点検です。
消防設備士の設備点検は、建物に今ついている設備の状態をチェックするもの。
一方で予防業務の防火査察は、消防設備士の点検結果も参考にしながら、設備の適正な維持管理ができているか、そもそも必要な消防用設備が付いているか、避難の支障になるものがないかなど、建物全体を火災予防の観点からチェックします。
3:危険物関係
危険物がある建物を管理するのも、予防業務の一つです。
なぜなら危険物がある建物で万が一火災が発生すると、危険物に引火して大規模な火災になる可能性があるから。
そのため危険物施設は、一般の建物よりも強い規制がかけられています。
危険物は大きく6種類に分けられており、馴染み深いものでいえば、ガソリン、灯油や油性塗料なども危険物の一種です。
4:防火・防災活動
防火・防災活動を通して、市民の意識向上を目指すのも重要な業務の一つです。
春の火災予防運動(3月1日~3月7日)、秋の火災予防運動(11月9日~11月15日)の期間は、市民へのチラシ配布や防災フェアなど、防火・防災活動で大忙しになります。
5:火災調査
火災調査とは、火災が発生した原因を調べて調査することです。
火災が発生したら、警察と合同で実況見分を行い、調査を開始します。
ちなみに警察が行うのは、「火災捜査」です。
警察が行う火災捜査とは、捜査による原因究明と責任追及を行いますが、消防が行う火災調査は、火災の発生原因や延焼状況等を調査し、今後の火災予防を目的としたものという違いがあります。
火災調査を行う部隊は、24時間の交代制勤務でいつ火災が起こっても対応できる体制を敷いています。
その他の予防業務に従事する職員は、日勤勤務が主流ですよ!
予防業務に従事する3つのメリット
この章では、予防業務に従事するメリットをお伝えしていきます。
予防業務に従事する3つのメリット
- 昇任試験に有利
- 市民対応に強くなる
- 規則正しい生活を送れる
メリット1:昇任試験に有利
予防業務に従事している職員は、総じて昇任が早いです。
その理由は、普段の業務で法律を意識しているから。
昇任試験では教養試験があり、法律関係も多く出題されますが、問題難易度が高く正答率はよくありません。
しかし、予防業務に従事している職員は、予防業務に関係する法律には相当知見があります。
昇任試験の教養試験では、予防分野で差がつくと言われているので、予防業務に従事している職員が有利なんです。
2:市民対応に強くなる
消防署には、毎日市民から様々な相談・意見が寄せられます。
相談・意見の大部分を占めるのが、予防業務に関することです。
例えば、「古い消火器はどうやって処分するの?」「住宅用火災警報器はどこに付けるの?」「枯草を燃やしたいんだけど」のような質問が多いですね。
私自身、消防士時代は消防隊と救急隊で勤務していて、予防業務はかじる程度だったので、苦手意識がありました。
そのため市民対応には、いつも四苦八苦していましたね。
3:規則正しい生活が送れる
予防業務の中でも、実際に火災現場で火災調査をする部隊は24時間勤務です。
一方でその他の予防業務に従事する職員は、日勤勤務になります。
日勤勤務のメリットは、何と言っても規則正しい生活を送れることでしょう。
24時間勤務は、深夜の仮眠中でも出動指令がかかれば起きて出動しないといけませんし、肉体的にかなりハードです。
実際24時間勤務がしんどくて、日勤勤務を希望する職員はけっこういます。
日勤勤務は給料は多少下がりますが、規則正しい生活で肉体的負担を軽減することができますよ!
予防業務に従事するための3ステップ
予防業務は消防の中でも非常に重要な業務なので、誰でも従事できるわけではありません。
ここからは、予防業務に従事するための方法を3ステップでお伝えしていきます。
予防業務に従事する3ステップ
- 各自治体の採用試験に合格する
- 消防学校で訓練・勉学に励む
- 消防隊として働きながら、予防に関する知識を付ける
1:各自治体の採用試験に合格する
予防業務に従事するためには、まず消防士になる必要があります。
消防士になるためには、各自治体の採用試験に合格しなければいけません。
本気で公務員試験に合格したいなら、公務員予備校に通うのがベストです。
なぜなら合格者の9割以上が公務員予備校を利用しているから。
どの公務員予備校に通うべきか迷う人は、この2つがおすすめです。
両予備校の資料請求は、以下からどうぞ!
2:消防学校で訓練・勉学に励む
各自治体の採用試験に合格したら、約半年間、消防学校に入校します。
消防学校では、消火訓練のような災害対応訓練はもちろんですが、予防業務に関する座学もカリキュラムに組み込まれています。
実際の予防業務でも大切な基本を学ぶので、しっかり学習しましょう。
3:消防隊として働きながら、予防に関する知識を付ける
消防学校卒業後に、いきなり予防業務には従事しません。
最初は全員が消防隊として働き、その後各分野に進んでいきます。
予防業務に従事したいなら、消防隊として働いている期間も、予防業務に関する知識を付けてアピールするとともに、いざ予防課に異動になった時のために備えましょう!
予防業務で持っておいた方がいい資格3つ
持っておいた方がいい資格3つ
- 消防設備士
- 危険物取扱者
- 予防技術資格者
消防設備士
消防設備士は、消防設備の点検を行う業者が持っていなければいけない資格で、消防職員は消防設備士の資格を持っていなくても、立入検査を行えます。
ただ予防業務に従事していると、消防設備士と話す機会が多々あり、知識で負けていては舐められてしまうことも。
対等に話ができるようになる意味でも、是非取っておきたい資格です。
また消防設備士の資格を持っていれば、消防設備業界への転職という道もありますよ。
危険物取扱者
予防業務の中で、危険物担当の職員がいるくらい、危険物は重要度が高い分野です。
そんな重要度が高い危険物ですが、覚える量も多く、私自身も予防分野の中で危険物は特に苦手意識がありました。
知識を身に着けるという意味でも、予防業務に従事する方にはおススメの資格です。
また燃料タンクがあるような消防署では、必ず一人以上は危険物取扱者の資格を持っている職員が配置されます。
そのため消防本部としても、一定数以上の危険物取扱者は必要なので、資格を持っていれば採用試験で有利になることもあるでしょう(消防本部によって違います)。
予防技術資格者
予防技術資格者とは、主に消防職員のための資格といえます。
予防技術資格者は、予防技術検定という試験に合格することで得られる資格で、受験資格は以下のとおり。
予防技術資格者は、消防士になってから取得する人がほとんどですが、大学、高等専門学校、大学院で一部の人は受験資格を満たすことができます。
予防技術資格者の資格を持っていれば、採用試験でかなり好印象です。
予防技術検定は3種類
予防技術検定は3種類あります。
予防技術検定は1年に1回しか受験できず、全部の試験に合格するには最低でも3年かかります。
予防技術検定に合格し予防技術資格者になると、以下のようなバッジを貰えますよ。
予防業務は縁の下の力持ち
最後に予防業務の仕事内容と、取得した方がいい資格をまとめます。
予防業務の仕事内容5つ
- 建築審査
- 防火査察
- 危険物関係
- 防火・防災活動
- 火災調査
取得した方がいい資格3つ
- 消防設備士
- 危険物取扱者
- 予防技術検定
予防業務は、災害対応にあたる職員に比べて派手さはありませんが、火災を未然に防ぐなど縁の下の力持ちとして、なくてはならない業務です。
消防の予防業務に従事したい人は、各自治体の消防官採用試験に合格する必要があります。
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